「保湿」についての基本知識を学びましょう。保湿ケアに必要な基礎的な情報を解説します。

「美しい肌を作るためには保湿が重要」とよく言われますが、「保湿とは何か？」と聞かれたときに答えられる人は多くありません。ここでは、肌の基本的なお手入れに欠かせない「保湿」という概念について解説し、正しい知識を身につけましょう。

美肌を手に入れるためには、保湿が基本です。

保湿とは、肌に十分な水分を与え、それを保持することです。肌が水分を保持すると、みずみずしさやツヤ、ハリ、透明感が生まれ、美しい肌を維持することができます。

美しい肌には多くの水分が含まれています。しかし、年齢とともに肌の水分量は低下していきます。そのため、肌にじゅうぶんな水分を保持できるようにすることが、美肌づくりの基本となります。

「毎日保湿しているのに、肌が乾燥してしまう」という人は、肌の機能がうまく働いていないことが考えられます。正しい「保湿」を知り、毎日のスキンケアを根本から見直すことが大切です。

保湿のポイントは「バリア機能」を高めることです。肌表面にある角質層が潤いで満たされ、バリア機能が正常に働くことが美肌づくりには欠かせません。

肌の潤いは、肌表面にある角質層の「バリア機能」が正しく働くことによって保たれています。乾燥や紫外線、雑菌などの外的刺激から肌を守り、健やかな状態を保つ役割を持つバリア機能は、肌表面の角質層が潤いで満たされることが必要です。

バリア機能を司る3つの要素は、「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂膜」です。それぞれが肌表面の水分量を調整し、肌を守る役割を担っています。

「NMF」は、肌に必要な水分を保持し、角質層が健やかに保たれるように働きます。「角質細胞間脂質」は、角質層を潤滑に保ち、外的刺激から守ります。「皮脂膜」は、肌表面をコーティングして水分蒸発を抑え、肌を保湿します。

「保湿」といえば「NMF（天然保湿因子）」です。NMFは水分を取り込み、保持する働きを持つ成分で、肌の水分量をキープする上で欠かせない存在です。

肌のバリア機能を整える役割を持つ「角質細胞間脂質」は、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などからなる物質です。角質層を水分と油分のきれいな層にし、乾燥や外的刺激から肌を守ります。

「天然の保湿クリーム」とも言われる「皮脂膜」は、皮脂と汗が混じったもので、肌表面を覆って水分の蒸発を防ぐ働きをします。この皮脂膜も、肌のバリア機能を保つ上で重要な役割を果たします。

肌の水分をキープするためには、NMF、角質細胞間脂質、皮脂膜の3つの要素がバランスよく整っていることが必要です。しかし、何らかの原因で角質層に乱れが生じると、肌のバリア機能が低下し水分が失われてしまうため、肌トラブルを引き起こすことがあります。

保湿は「水分を補う」ことだけでなく、補った水分を逃がさないよう、油分でふたをすることも重要です。乳液やクリームなどの油分を使って肌を保湿することで、肌の水分量をキープすることができます。

ターンオーバーのリズムを整えることで保湿力を上げよう

肌の保湿力には、肌細胞の生まれ変わりの仕組みである「ターンオーバー」が関わっています。ターンオーバーの仕組みについて詳しく見ていきましょう。

肌は、基底層、有棘層、顆粒層、角質層の4つの層に分かれており、約28日のサイクルでターンオーバーが行われます。

ターンオーバーによって肌の潤いを保つために必要な成分であるNMF、角質細胞間脂質、皮脂膜が作られます。正常なターンオーバーのサイクルが保たれることで、肌は健康的でトラブルが起こりにくくなります。

肌が荒れたり、紫外線を浴びたりすることでターンオーバーが促進され、肌のバリア機能が低下してしまう場合もあります。また、加齢によってもターンオーバーのサイクルが遅くなることがあります。

ターンオーバーが早すぎる場合や遅すぎる場合、肌に悪影響を及ぼすことがあるため、正常なリズムで行うことが大切です。

肌の保湿を促すスキンケアやライフスタイルについてのコツを紹介します。

肌の保湿には「肌のバリア機能を高める」と「ターンオーバーを整える」ことが重要です。これらを実現するために、日々のスキンケアや生活習慣に注意する必要があります。

保湿を目的としたスキンケアアイテムを使用することが重要です。肌に必要な水分だけでなく、油分で肌を保護することも大切です。セラミドをはじめとする保湿成分が含まれたアイテムを使用すると効果的です。

洗顔後は、肌の乾燥を防ぐためにすぐに保湿することが必要です。肌のバリア機能を高め、肌の水分量を保つためにも、保湿を怠らないようにしましょう。

部屋の湿度を見直すことも肌の保湿につながります。肌の水分蒸発を防ぐために、湿度を40〜60％程度に保つことが望ましいです。冬場だけでなく、夏場もエアコンで室内が乾燥するため、湿度計や加湿器を利用して湿度管理をすることが大切です。

洗顔後はすぐに保湿することが大切です。洗顔や入浴によって肌が無防備な状態になり、水分の蒸発が進んで肌が乾燥してしまいます。できるだけ早く、5〜10分以内に潤いを補うことで、肌のバリア機能を保ち、水分量をキープすることができます。

栄養バランスが整った食事を摂り、適度な運動や睡眠を心がけることも肌の保湿につながります。食事については、ドリンクなどを利用して手軽に栄養補給をすることも有効です。

部屋の湿度が低いと、肌が乾燥してしまい保湿力が下がることがあります。このため、室内の湿度を適切に保つことが大切です。空気が乾燥すると、肌からの水分蒸発量が増え、肌の乾燥が進みます。肌によいとされる湿度は40〜60％であるといわれており、空気中のウイルス対策から考慮すると50〜60％が理想的です。冬場だけでなく、夏場でもエアコンなどによって室内が乾燥することがありますので、湿度計や加湿器を用意し、空気の乾きすぎにも注意しておくことが肌の保湿につながります。

バリア機能を高め、保湿力をアップさせるためには、食事の栄養バランスを整えることや、適度な運動、十分な睡眠、ストレスを溜め過ぎないようにすることが重要です。特に、栄養バランスの乱れは肌にも影響を与えるため、バランスの良い食事を心がけることが大切です。忙しい時は、栄養が手軽に摂取できるドリンクを飲むなどして、栄養を補うこともおすすめです。

毎日の保湿ケアを徹底し、健やかで潤いのある肌を目指しましょう。肌のバリア機能を高め、ターンオーバーを整えることが重要なポイントです。