慢性炎症とは、長期間にわたって続く炎症症状です。生活習慣を改善することで、慢性炎症を抑えることができます。

「慢性炎症」という言葉をご存知でしょうか？これは、痛みなどのはっきりとした自覚症状がないまま炎症が長期間にわたって続き、さまざまな病気へと発展する可能性がある状態のことです。
慢性炎症とは、何からもたらされる病気であり、その原因や治療方法について詳しくご紹介します。

慢性炎症とは、長期間にわたって続く炎症の状態を指します。

炎症とは、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入した際に、免疫系が反応して体を守るために起こる反応のことです。免疫細胞が働き、傷ついた部位が赤くなったり、腫れたり、熱をもったりするなどの症状が現れます。
この炎症反応は一時的なものであり、通常はしばらくすることで改善されます。

近年の研究により、炎症を引き起こす物質の種類や量によっては、治療が困難な「慢性炎症」を引き起こす可能性が明らかになってきました。
慢性炎症とは、一過性の炎症反応が完全に治まらず、炎症反応を抑制する機能が低下した状態です。症状が軽いため見つかりにくい傾向にありますが、疾患を引き起こしたり悪化させる原因となる可能性があります。

慢性炎症がある場合、日常生活にどのような影響があるか？

慢性炎症とは、自覚症状がなくても、数週間から数か月、あるいは何年にもわたって弱い炎症が持続することです。
最近の研究では、長寿の高齢者が認知機能や自立した生活を長く保つことができるのは、炎症の度合いが低いからと考えられています。慢性炎症が老化や健康寿命に深く関わっている可能性があるということが示唆されています。

慢性炎症の症状を確認して自分の体の中で慢性炎症があるかどうかを知るためにはどうすればよいでしょうか？
CRP（C反応性タンパク）は、体内の炎症の状態を突き止めるための常用指標として広く用いられています。炎症が起きている場合、CRP値は高値になることが知られています。
「高感度CRP」という検査を用いることで、従来のCRP検査では検出できなかった局所的な炎症と慢性炎症を区別して検出することが可能となります。微量なCRPを検出できるため、慢性炎症が起こっているかどうかを確認することができます。

慢性炎症を引き起こす可能性がある要因は？

肥満・運動不足
過度なカロリー摂取や運動不足によって肥満になると、内臓脂肪から炎症を引き起こす物質が分泌され、持続的な炎症が起こると考えられています。さらに最近の研究では、カロリーの高い食事をとると脂肪組織が刺激されて炎症反応が続き、血糖値が安定しにくくなるということが明らかになっています。
血中の悪玉コレステロール濃度が高まると、血管に炎症を引き起こしてしまいます。一方、善玉コレステロールは余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻してくれる働きがあります。しかし、中性脂肪は悪玉コレステロールに変化しやすく、高カロリーの食事や運動不足は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らしてしまいます。その結果、血管に炎症が起こってしまいます。
喫煙
喫煙は、善玉コレステロールを低下させ、慢性炎症を引き起こす可能性を高める原因となっています。
アルコール
アルコールの摂取量が増えると、中性脂肪も増加します。その結果、飲酒過剰は慢性炎症を引き起こす可能性があります。

慢性炎症の治療法と予防方法について

慢性炎症を完全に治療する方法は、現時点ではまだ存在しません。しかし、慢性炎症を抑制するためには、健康な生活習慣を身につけることが最も有効な方法です。

食事の改善
・栄養価の高い食品を積極的に摂取する
中性脂肪を減らすためには、脂質や糖質の摂取量を抑え、n-3系多価不飽和脂肪酸（DHA、EPA、α-リノレン酸）を含む食材を積極的に摂取することが有効です。DHAやEPAはサバやマイワシなどの青魚に、α-リノレン酸はアマニ油やえごま油などに多く含まれています。α-リノレン酸は酸化しやすいので、加熱せずにドレッシングやマリネなどに使い、早めに使い切る
アルコールを適度に摂取しましょう。
アルコールを摂取する際は、健康的な摂取量を心がけましょう。
・食事にターメリック（ウコン）を取り入れることで、健康を維持しようとする人々にとって、高い評価を得ています。
ターメリック（ウコン）は、カレーの黄色い色素として知られていますが、炎症を抑える働きがあることが研究によって明らかになっています。さらに、ターメリックエキスを使った実験では、慢性炎症を改善する可能性が示されており、慢性炎症が関与すると考えられている血糖値を改善する効果もある可能性があることが示唆されています。
ターメリックを使った料理を楽しみながら、サプリメントを摂取することで健康を維持するのも良いでしょう。
適度な運動
適度な運動習慣をつけることは重要です。1日30分以上の有酸素運動を毎日行うことが望ましいとされていますが、少なくとも週3日ほど行うことを目標にしましょう。1日30分以上というのは大変なので、10分の運動を1日のなかで3回に分けるなど、自分に合ったスケジュールを作ることも可能です。運動の強度としては、普通に歩く程度か少し速い速度でのウォーキングが最適です。
運動をあまりしていない方は、自転車で買い物に行ったり子どもと遊んだりするなど、普段の生活のなかで少しずつ体を動かす時間を増やすことで、ストレスの解消や気分転換にもつながります。体を動かすことで、健康的な生活を送ることができるでしょう。
ストレスを減らす
ストレスを最小限に抑え、心を穏やかに保つことは重要です。ストレスの原因は、物理的なもの（暑さや寒さ、騒音、混雑など）、化学的なもの（公害物質、薬物、息苦しさなど）、心理的・社会的なもの（激務や人間関係、家庭の問題など）の3つに分類されます。物理的なものや化学的なストレスを取り除くことは比較的容易ですが、心理的・社会的